少し前のコメントでも触れたが、私の友人が今年に入ってニンテンドーDSを欲しいと言い出した。もともと携帯ゲーム機などに興味がなかった友人が欲しいと言い出したのだからDSのパワーは偉大だ。
残念ながら、話のネタついでに一緒にショップをまわったもののどこも品切れ状態でDSは入手できない状態が続いている。もっともそんなハードだからこそ欲しいのではあるが。
さて、そんなローカルな話をしなくともDSの勢いと実力はまさに独り勝ち状態だ。
去年どころかここ数年の話でも、家庭用ゲーム業界でこれほど、常識破りなまでの成功を収めたという話題は無かった。
「ところが、忘れちゃいませんか?」
というような今日は話をしたいのだが、すわPSP、PS3などと言うのではない。
コンピューターゲームは家庭用ゲーム機のものだけではないという話なのだ。
少し話をまわり道させるが、私は本格的にゲームとつきあってきて25年ほどになる。
その間見てきたゲームは業界ごとに区分けすると、アーケード、家庭用、PCとなるのだが、その3つの業界は同じゲームという括りの中でも、微妙にゲームに対するスタンスが違い、お互いに影響を与えあって25年の間ゲーム文化の革命を起こし続けることができたのだ。
つまり、DSの強敵(とも)は、家庭用以外にあるのだ。
私はそもそもアーケードゲーマーなので今日はその中でもアーケードゲームの話をするが、その前に3つの業界のこれまでを私なりにおさらいしたい。
このまぐろぐでは家庭用ゲーマーの方が多いだろうということで、それに合わせて解説しよう。
まずファミコン初期。
この頃はアーケードがスペック的にも内容も圧倒していた時期だろう。家庭用はアーケードの廉価版といった雰囲気で、アーケードからの移植作も目立った。
例えばドンキーコング(初代)やマリオブラザーズ(初代)などの(今見ればごく小さいゲームの)移植作を見ても、アーケードとの実力差を感じることができる。
一方PCではRPGがすでに生まれており、思考型ゲームを中心として、アーケードや家庭用のアクションゲーム中心路線と一線を画していた。
ファミコン後期~スーファミ。
まだスペック的にはアーケードが優位。ストリートファイター2などの移植具合でもアーケード優位が伺える。しかし、家庭用は家庭用としてのゲームを確立した時期でもある。アーケードからの移植作は減り、PCからの思考型ゲームの融合も果たした。
また携帯型ゲーム機も登場し、一気に勢力を拡大した。
PCは思考型ゲームでも家庭用の後塵を拝すような様子が出てくるが、18禁ゲームというものが地位を得た。
PSサターン~PS2初期。
私的に、この頃が文化として見て、最もゲームがつまらなかった時期である。
なぜなら、3つの業界が最も接近していた時期がこの頃だからだ。
確かにゲーム人口が量的に大きく膨張した時期であり、だからこそ3つの業界が最も接近したと言えるのだろうが、3つの業界のゲームに差別化もなく、続編、万人受けなどのマンネリが、この後しばらく続くゲーマーのゲーム離れ現象の引き金を引いた。
スペック的にも3業界が横一線のような形になった。
アーケードと家庭用が互換基板を使ったりしていて、移植も完全移植。Windowsの普及からPCがスペック的に大きく伸び、アクションゲームもPCで表現されるようになった。
昔のPCから見れば信じられないが、バーチャファイターなどがPCゲームとして存在しているのだ。また有名どころではバイオハザードや電車でGO!なども3業界に存在するタイトルだ。
さらに18禁ゲームでさえ、ギャルゲーとして家庭用に移植され、同一タイトルの他機種版というものを嫌というほど見ることになった。
初回特典などの忌まわしい商法が蔓延したのもこの頃である。
アーケードは家庭用、PCと同一スペックになったことで、独自の魅力が薄れ、発売タイトル自体が大幅に減少しはじめ、メーカーもどんどん撤退した。
近年。
そして、ようやくここ最近の話になるのだが、家庭用はDSという救世主が現れ、家庭用としての新たな方向性というものを見せつけた。
PCは高スペック化の波が止まらず、いまやハイエンドゲームはPCに存在する。そして多人数参加型オンラインゲームという切り札を手に入れた。
では、アーケードはどうなのか。
アーケードはアーケード独自の魅力を再確認する時期に来ていたのは間違いない。それは何かというと「そこに出かけていく」ということなのだ。
家庭用は家庭、PCも家庭、もしくはネットという架空という場所で展開するものだが、アーケードはアーケードに行くことに意義があるのだ。
つまり、遊園地のアトラクションのようなゲームや、そこでしか手に入らないお土産など、現実的な「お出かけ感覚」重要なのである。
そんなゲームが今、アーケードには出ているのか?
答えはイエスだ。そしてその筆頭が、カードゲームなのだ。
特に空前のヒットを飛ばしているのが、三国志大戦、ムシキング、ラブアンドベリーのセガ3大ゲームだろう。
これらのゲームの特徴はなんと言っても、カードという現物がゲーム機から出てきて手にすることができるということだ。
家庭用にもカードゲームはあるが、それは画面内の架空のカードを取り扱うゲームだ。そこが決定的に違う。
カードというお土産が手に入るのは、アーケードならではの大きな魅力となっているのだが、今やそれらのカードは、レアなものでは1万円をゆうに超える価格で市場で取り引きされているというのだから驚きだ。
中でも本格的なゲームに仕上がっている三国志大戦では、家庭用やPCにはないフラットリーダーという入力デバイスを持っており、テーブルの上でカードを動かせば画面内のユニットが動くというDSのような直感的デバイスを採用している。これはもうほとんど魔法のような感覚だ。
アーケード独自のお土産+入力デバイスで家庭用やPCにない独自の価値を導き出した。
ムシキングやラブアンドベリーは子供に加え、親も巻き込んだ人気になっており、一般的なアミューズメント施設のみならずショッピングセンターなどでもヒットを飛ばしている。
親子で出かけて、一緒にプレイ。カードのお土産があるにも関わらず、プレイ料金は30年前と変わらず100円なのだからアーケードも捨てたものではない。

三国志大戦のカード(上段)とWCCFのカード(下段)
カードゲームの他に目を移すと、プライズゲームやメダルゲームなどが目立っている。これらもやはり現物を手に触る楽しさが全面に打ち出されていて、画面内の架空のアイテムでは味わえない手触りが独特の満足感を与えてくれる。
アトラクション的なゲーム作りが上手いのは、ナムコだ。
太鼓の達人やビッグスウィートランドが店内でドカンとお出迎えしてくれるのだが、果てはフードテーマパークなども作ってしまうのがナムコの提供する「お出かけ感覚」なのだろう。
特に私のお勧めはプライズゲームのビッグスウィートランドだ。
ジャックポットを搭載したプッシャーゲームで、誰でも熱くなれる。
手に入るお菓子の量も豪快で、まさに漁をするような感覚だ。河に流れる大物をすくい上げたときは本当に興奮するが、小物をチョコチョコとすくい上げ、ルーレットをまわすのが地味だが堅実だ。
お年寄りや体の弱い人でも同等のゲーム性を味わえることがこのようなゲームでは一番の魅力だが、太鼓の達人でもビッグスウィートランドでも、アーケードの価値を理解した立派なアトラクションゲームと言えるだろう。
また、さきほどフラットリーダーの話をしたが、本来デバイスではDSやレボリューションよりも以前からアーケードは一枚上を行っているはずであった。
その進化が5年ほど前までは停滞を見せていた感があったが、ようやくここに来て芽が出てきたところも見逃せない。
人形と漫才をして頭をはたいたりするナイスツッコミや、剣型コントローラーの魔斬など、ユニークな入力デバイスも出てきてはいたが、ついに出力デバイスで革新的な上下左右180度スクリーンがガンダムという題材で登場することとなった。
ドームスクリーン技術を使用したコクピットタイプのキャビネットはいまだショーでお目見えしたばかり(プレイアブルでショーに出たので登場は間近だ)だが、注目度満点は間違いない。
家庭用やPCの出力デバイスである民生用テレビなどでは絶対に味わえない空間がそこにあるはずだ。
アーケードの空間の空気を吸いに行く、それが絶対的にアーケードの価値なのだ。
さて、長々と書いてきたが、この辺でまとめよう。
独り勝ちするDSのライバルはアーケードの「お出かけ感覚」にアリだ。
ただ、それはDSを駆逐するという意味ではない。
DSの個性を引き立たせるためにも、DSとは全く別の魅力を持ったものが他に必要なのだ。それがゲームという括り全体で見ればどれだけプラスか、いま一度アミューズメント施設にお出かけして実体感されてみてはどうだろうか。
特にここ何年か、アーケードゲームの時間が止まっている人は、現場を確認してみればきっと新たな発見があるはずだ。
三国志大戦開発者インタビュー
http://www.sega.co.jp/community//segavoice2/vol01.html
機動戦士ガンダム 戦場の絆
http://www.mainichi-msn.co.jp/entertainment/game/amshow/graph/pickup1/